公民館を訪ねて(令和5年度版)
― 人と人があたたかくつながる町 ―
「社西地区は、もともと社南、社北の2つの地区に分かれ、西に流れる日野川の清流を利用した農村地域だった。その2地区のちょうど中間あたりに福井国体のメイン会場を造ることになり、1963年頃から敷地の造成工事、各種競技場の建設と並行して、その周りに市営住宅、分譲住宅の建設が行われた。競技場の完成を待って1967年には全国高校総体(インターハイ)、その翌年には福井国体が開催された。
住宅建設はその後も地区全体で続き、児童数が増加したため、1983年には社南、社北小学校の間に社西小学校が建設され、1991年に社西公民館が開館された。当初の社西地区の特色を活かした地域づくりに取り組む姿には、先人の地域に対する熱い想いがあってこそ成し得たと推察する。
今の姿は、国体の競技会場となった運動公園の周りに伸びる住宅地と水田に囲まれたのどかな地域となっている。さらに、子ども園、各種医院、スーパー、コンビニ、飲食店などが周辺に揃っていて、生活に便利な地である。
また、運動公園陸上競技場は陸上100m走において、桐生祥秀選手が日本人で初めて10秒の壁を破り、9.98秒で走破した場所として有名になっており、その功績を記念して、今では「9.98スタジアム」と命名されている。
地区の小中高校との連携は、地区の未来を担う子どもたちや若者とのつながりであり、これからの地区活動にとってかかせないものである。
社西小学校では、社西ふれあいまつりで小学校花壇に花を植えるウォーキングを実施。社中学校は、中学生の生の声を聴くワークショップを開催し、その中学生たちが公民館に置く木製ベンチを制作してくれた。科学技術高校は、毎年独自の楽しい催しを社西ふれあいまつりで開催。またテキスタイルデザイン科が公民館の花時計モニュメントに、福井市の花あじさいと地区を流れる狐川をイメージしたデザイン画を制作。
社西地区自主防災会は2003年に設立された。当地区では福井市の防災避難訓練の日とは別に、毎年6月第1日曜日に訓練を実施しており、それは地区として特に防災に力を入れたいとの思いの表れである。
2023年には、国土交通省福井河川国道事務所による「防災ワークショップ」も2回開催し、多くの住民が参加して、自分たちの住む地域の防災について大いに語り合った。
図らずもその翌年、2024年1月には能登半島地震が発生。私たちの住む地区も少なからず揺れを体感し、あらためて地域の自主防災の大切さを再認識させられることとなった。
地区住民が地域の活動に参加しやすい環境を作るため、いろいろな事業を実施している。
その中でも近隣の低山を登る活動は、今まで地区の活動にあまり参加したことのない方でも、気軽に参加できるもののひとつである。山登りをガイドしてくれるのは、地区在住のヒマラヤ登山の経験もある福井山岳連盟の重鎮で、サポート体制もバッチリ!その上、山行の途中には山登りのちょっとしたコツやミニ情報、山登りあるあるなど、専門家ならではの楽しい話も聞けて一石二鳥のイベントである。
2020年4月に子ども太鼓「鼓友」(こだち)を結成。折しもコロナ禍の真っ只中で、思うような練習もできなかったが、そのような中でも児童たちはできる限りの練習を行い、2022年7月の地区夏まつりで、初めて日ごろの練習の成果を披露することができた。
その後は地区事業や地区成人式などで発表する機会も増え、応援されることにより、さらに自身に繋がっており、月3回の練習に励んでいる。
社西地区では美化推進委員3名が環境美化のために活動している。特にゴミ問題や食品ロスについては、地区の問題として捉えており、フードドライブ事業はその両方に通じる重要な課題であり、力を入れている。
残りの賞味期限が1か月以上、常温保存可能なものなどの決まりはあるものの、地区住民からは多くの寄付が集まり、活動は少しずつ広がってきている。
「もったいない」を「ありがとう」に変える活動をこれからも続けていきたい。
当地区では2008年度から「社西地区20歳の同窓会」を毎年開催している。例年1月に福井市が実施する「福井市はたちのつどい」に合わせて開催してきたが、2022年度に3月に変更されたため、それに準じて当地区も3月に変更になった。 毎回お世話になった恩師の先生方をお迎えして、懐かしいクラスメイトとの再会で楽しく盛り上がっている。このように地区出身の若者が集まり、賑やかなひと時を過ごせる機会を設けて、若者たちの意見を取り入れ、社西地区の未来に繋げていきたい。
地区創立30年を越えて、社西地区も世代交代の過渡期にあります。これからの社西地区を担う若者、子どもたちが明るい未来を描けるような、活気あるまちづくりを目指して、住民みんなで知恵を出し合って、より良い地区を作っていきたいと思っている。